GBIFにおける種数のカウントについて

なぜGBIFは種数をホームページ上で公開しなくなったか

Carolus Linnaeus - Regnum Animale (1735)
From Carl Linnaeus' first edition (1735) of Systema Naturae.

かつてはGBIF.orgホームページには、ポータル内のデータレコードに何種が含まれるかが数字で示されてきました。しかし、どんな数字でもなんらかの誤解を招くことがあるので、今後は数値を示さないことにしました。

そうはいっても、全生物の中でGBIFがカバーする範囲をモニターし、理解することは有益です。私たちは、種分布の証拠や世界の自然史コレクションで保持されている資料から、可能な限り最も包括的な見解を提供するよう努めています。入手可能なデータの中に、すでに何種が含まれているかを知ることは、この目標に向けた進歩を示す重要な指標です。

1.ネットワークを介して集められたレコードには異なる種類のデータセットがある。
2.利用可能な分類学的データセットには不足した情報がある。

最初の課題では、GBIFが地理情報をもった種のオカレンス(オカレンスのみのデータとサンプリングイベントのデータセット)と、種のチェックリストの両方を集めることをサポートしていることを理解することが重要です。種のチェックリストには、特定の地域におけるオカレンスが暗示的に示されていますが(そしてこの文脈でこれらのデータセットがさらに活用されますが)、多くのチェックリストのデータセットは、種名と分類に関する基本的な情報だけか、地理的ではない情報と種にまつわる特徴のみを含んでいます。GBIFは特にカタログ・オブ・ライフ(Catalogue of Life)全体をチェックリストのデータセットとして扱っています。

ほとんどのユーザーは地理空間情報を得たり、標本情報を探すためにGBIF.orgにアクセスします。そのような用途では、GBIFの全データセットが示す種の総数は重要ではありません。GBIFがカバーする範囲を示す最も重要な尺度は、ある時、ある場所で記録されたという証拠を伴った種の数がGBIFにどれくらいあるか、ということです。

第2の問題点は、Catalog of Lifeや他の分類学的リソースには、依然として正式なチェックリストがない重要な分類群がかなり多く存在するという事実に関連しています。これは特に、大型で重要な昆虫、植物および菌類のグループに影響を及ぼします。これらのグループにおいて、実際の種数を決定する上で信頼できる方法をGBIFは持っていません。そのような場合、より良い情報がない場合には、これらの名前の多くが実際には少数の種の異物同名であったとしても、すべての学名を別個の種の候補として扱います。GBIFは現在、Catalog of Lifeや他のパートナーと協力して、よりシームレスで完全な作業チェックリストを、すべての種について提供しようと努めています。しかし、現時点では、私たちが扱っているデータの中には、種として受け入れられているものとそうでないものが何十万も混在している状態です。

上記の背景をもとに、GBIF内の種の現在のカバー範囲を示すいくつかの数字がここに記載されています:

カウント(現在のカウント 説明
1,718,366 最新のCatalogue of Lifeに含まれている種数。これは現在、Catalogue of Lifeがカバーしている分類群における記載された種の数の外部ベースラインとして用いられている。
1,074,006 最新のCatalog of Lifeチェックリストにある種のうち、少なくとも1つのレコードがGBIFのオカレンスデータあるいはサンプリングイベントのデータセット(2018年7月現在)が少なくとも1つある種の数。 (July 2018).
2,274,299 GBIFが有する、検討された種数あるいは未検討種(種の候補)数の合計。
1,599,406 検討された種および未レビューの学名のうち、少なくとも1つのレコードがGBIFのオカレンスデータあるいはサンプリングイベントのデータセット(2018年7月現在)が少なくとも1つある種の数。 (July 2018).