気候変動は地球上のすべての生命に対する脅威であり、温室効果ガス(GHG)排出の削減は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)におけるパリ協定の重要なミッションです。しかし、温室効果ガスの大幅な緩和には、大規模なバイオエネルギー作物の生産や植林など、土地利用の大幅な変更が必要となる場合があります。土地利用の変化が今日までの生物多様性損失の最大の推進要因であるなかで、GHG緩和のプラスの効果は土地利用変化によるマイナスの効果を上回ることは可能なのでしょうか。
GBIF上の8,000種以上の動植物のデータを使った分布モデルの変化についてGHG緩和シナリオをベースラインと比較し、日本の研究者らによるこの研究は、生物多様性全体が気候の安定化によって、土地に基づく緩和の潜在的な副作用があっても利益を得ることができることが示唆されました。
彼らの結果は、土地ベースの緩和の取り組みが成熟している地域(ヨーロッパやオセアニアなど)では生物多様性の損失を被ると予測される一方で、厳しいGHG緩和策は、特に今世紀後半において、世界の生物多様性に正味の利益をもたらす可能性があることを示しています。